私は小学校の4年間と、大阪での専門学校時代の2年間、長屋暮らしを経験しています。
いずれも風呂なしの共同トイレでした。寒い冬の夜、かじかんだ手で母親の内職をよく手伝っていました。
それも今ではいい思い出です。
時代は変わり、長屋はアパートへと形を変え、めったにみかけなくなりました。
いつも議論になるのが、「アパートではいけないのか?」
「なぜ、借金してまで一戸建てを持たなければいけないのか?」ということです。
アパートではいけない、子供が悪く育つ、そんなことはまったくありません。
しかし、子供を育てる環境が将来を左右するのは間違いないと思います。環境とはなんでしょうか?
私は「教育環境」だと思います。子供に残してやるものは、家や財産ではなく、教育です。
お父さんは一生懸命働いて手に入れた家で、家族を守る姿を見せる。
お母さんは、家族の空腹を満たし、かけがえのない愛情を伝える姿を見せる。
これ以上の教育はないと思います。子供にとって親の後姿ほど、影響をうけるものはありません。
家づくりは住宅産業といいます。
しかし、私は、家づくりは生命産業だと思っています。父親は外で戦い、母親は家で子供を守る。
そして教育し、心豊かに育てていく。そのための器(うつわ)が家なのです。
かけがえのない時間を共有する・・・
私たち家づくりに携わるものは、ほんの数ヶ月ですが、お客様とかけがえのない時間を共にすることになります。
私たちとお客様との出会いは、偶然ではありません。
出会うべくして出会ったのだと思います。
もしそうだとするなら、私はその貴重な時間を大切にしたい。
「私たちが得てきた知識や技術を全てお客様のために捧げる」 そんな気持ちを持ち続けたいと思います。
「お客さんはどこにいるのだろう?」
多くの会社は、お客様を自分の住んでいる周りの世界に探し求めます。
でも、そこには本当のお客様はいません。
本当のお客様は、自分の心の中にいます。
家をつくる時は、いつも心の中にいる本当のお客様との戦いなのです。
自分にウソをつくことは、心の中のお客様にウソをつくことになります。
「M田さんは、なぜ家をつくっているのですか?」
こんな質問をときどき受けます。しかし今ははっきりと答えられません。
あえていうなら、その答えを探すために毎日家づくりをしているようなものです。
これからも「お値打ち価格の高級住宅」をつくり続けます。共に生きる仲間達と・・・

中丹・丹後建築職人会 |
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